人の体臭は、食べ物、ホルモン、汗の分量などによって、それぞれに個性を発揮します。

その他の疑問

においによる"嗅診"は実用化できるのか

糖尿病患者は甘いにおい。腎臓病患者はアンモニア臭と、ヒトの体は疾病のサインをにおいで表現しているようです。このようなにおいで疾病を診断できたら、どれほど患者に経済的にも身体的にも負担をともなわない診断方法として画期的なことでしょう。

以前から、イヌが嗅覚についてすばらしい能力を発揮することは知られていました。すでに警察犬や麻薬犬・遭難救助犬などの分野で、イヌの嗅覚が着目されて世界的に大活躍しています。そこで、このイヌの嗅覚をヒトの疾病発見に利用できないか? またはその感知システムを機器に応用して取り入れることで、診断を簡易にすることはできるだろうか? という研究テーマに着目しました。

そうしたときに実現に向けて役立ってくれる、すばらしい嗅覚のイヌが登場しました。彼女の名はマリーン。千葉県白浜町にある「StrSugar 福祉犬育成協会白浜育成センター」の佐藤悠二支部長が訓練した海難救助火です。

マリーンはヒトのがんの呼気を嗅ぎ分ける、がん探知犬第1号です。実験は、まず乳がん患者の呼気を10の6乗倍・9乗倍・12乗倍に薄めたものを詰めたパックを作成します。このパックは病院などで使われている「呼気採取パック」と同じものです。風船をふくらませる要領で息を吹き込むだけで、呼気を逆流させることなく採取できます。大気汚染のガスを入れて環境調査するときにも使われています。

その乳がん患者の呼気パックの中の1個と、健常者の呼気を詰めたパック3個とともに箱に入れて並べて配置しました。この配 置をする人物は、実験に影響を与えないために、マリーンが知らないヒトが、マリーンほか実験に立ち会う人間もいないところで、配置にあたっています。これはイヌが無意識下のヒトの行動や癖も見抜き、そこから当たりの箱を判断してしまうこともありえるため、イヌの嗅覚以外の要素が作用することのない状況にする点に配慮しました。

その後、マリーンに注射器で採取したがん患者の呼気を嗅がせて、佐藤さんが命令します。

 「探せ!」

マリーンは訓練されたとおりに注射器と同じにおいを見つけると、その箱の前でぐるりと回って、座ります。そこでその箱をメモします。

同じ段階をふみ、何回も実験は行われます。当たりの箱の位置もそのたびに変わります。12回ほど繰り返し、マリーンが疲れを見せ始めたので、この日の実験を終了し、呼気パックの配置場所と、マリーンが嗅ぎ分けた箱の位置を照合してみると、ほぼ100%正解でした。ほぼ、というのはどの箱の前でも座らずに戻ってきたケースと、探しあてるのにかなり時間がかかったケースがそれぞれ1回あったからです。この2つは10の12乗倍まで薄めたパックを探しあてるもので、さすがのマリーンも薄いと嗅ぎ分けるのに苦労するようでした。これはイヌの嗅覚がすぐれていても、酪酸のような強烈なにおいでも10の14乗倍になると感知不能ということがわかっています。はぼ無臭としかいえない「乳がんのにおい」が10の12乗倍まで薄められれば、どれほどすぐれた嗅覚をもってしてもお手あげでしょう。

次にがん探知センサーができることで、どれだけヒトの負担が軽減するかについて、乳がんの場合を例に説明しましょう。

乳がんの検査機器には、乳房のX線写真を撮るマンモグラフィという最新機器があります。これは視触診のみを頼りにしていた乳がん検診に新たな道を間いたものです。欧米ではすでに一般的にマンモグラフィによる検診が行われていて、早期発見により死亡率を減少させる効果が得られています。そのような状況を受けて、日本でも2004年からがん検診指針の一部が、乳がんについては40歳以上の女性に対してマンモグラフィ検診を行うことを原則とすると改正されています。

日本女性のがんの中でも乳がんは、1994年以来急増し、罹患率1位。死亡者数は年間1万人を越えています。その原因は遺伝的要因にプラスして、食習慣の変化や飲酒・タバコ・運動不足などの要因の増加が考えられます。こうした背景から、厚生労働省で約3千800万人の女性に受診をうながしているなかで、実際に受診しているのは260万人とその7%にすぎません。このように受診率が低い現状があるうえ、この検査には痛みをともないます。やわらかい乳房を専用のレントゲン装置ではさんで写真を撮りますが、これがとても痛いようです。特に胸が小さい女性ははさむのが大変で、「痛み」と「はさめなかったら恥ずかしい」という、受診をためらわせる2つの大問題を抱えています。

このはかにもがん検診は間題があります。1つはマンモグラフィ以外のPET ・ CT ・ MRT ・ 超音波・X線など、全体にいえることですが、診断の精度が撮影をする技師と読影をする医師の技量 に左右されることです。画像がピンボケだったり、撮影角度が適切でなかったりすると、病巣が発見されないままに放置される危険があります。画像が示す警告を、医師が見逃してしまうこともないとはいえません。その意味で精度が高いとはいえないジレンマがあります。このほか、検査の過程で無理な姿勢を取らされたり、微量なりとも被爆のリスクがあったり、カプセルの中に閉じ込められる恐怖にも似た緊張感があったりと、検査にはけっこうな苦痛がともないます。しかも乳がん検診推進者が日をそろえていうことは、総じて50歳以上は効果がありますが、50歳以下は十分なデータがなく不明というのです。これで早期発見といって40歳から受診させる意味はあるのでしょうか?

また乳がんは肺がんと違い、レントゲン被爆の範囲は狭いので、レントゲン検査の弊害を受けることが少ないのですが、過去の統計から、乳がん検診は20回に1回は誤診が起こり、異常がない状態で乳がん宣告を受けてしまうことがあります。

そして、がんの最新の医療機器を使ったがん検診は多くが高額です。日本は世界1多くCTスキャンをもっている国ですが、CTスキャンを受けることは被爆の危険性と表裏一体なのです。そのうえ、誤診が起こる可能性もあります。

このようながん検診のリスクを払拭できるのが、がん探知センサーなのです。これだと乳房にパッドをあてて体液を採取するだけです。あとは乳がんのにおいをそこから判別するだけ。ほかのがんでもその呼気を取り込むだけで、なんの苦痛もなく短時間で簡便に検査ができます。分析に技師や医師の技術は不要なので、見逃される心配も少なく、金銭的負担も少ないでしょう。

適切ながん診断のためにも、マリーンたちにがんばってもらい、1日も早くがん探知センサーが完成することを願います。 


香りやにおいに敏感な人は好き嫌いが多い!?

においに敏感な人は好き嫌いが多い、ということを示すデータはありません。

味覚と嗅覚は表裏一体のものです。料理の香りを感じられるからこそ、おいしく食べられます。ヒトが成長して大人になると、これまで食べてきた経験則や知識で食べることもあります。健康にいいから食べようとか、ナマコは見た目グロテスクだけど、こりこりとした触感がたまらないとか。

しかし、子どもは一般的に苦味や香味が強い食材を嫌うことが多いようです。その代表例がピーマンです。ただし、味がついていない水などでは、おいしい水がよくわかるといわれます。子どもの舌は、敏感か鈍感かどちらなのでしょう?

味は大きく5つに分かれます。甘み・塩味・旨味・苦味・酸味、このうち苦味と酸味は腐敗や毒性にかかわります。生物は基本的にこの2つの味が嫌いです。子どもが嫌う食材の味にこうしたものが挙げられるのは、本能的に危ないものは避けろということがすりこまれているのではないでしょうか?

香りについては、香味野菜が大人になるにつれて食べられるようになる人が多いこと(経験則によるもの)。かつ、猛毒をもつ山菜のトリカブト(無臭)とヨモギ(においあり)やドクダミ(においあり)がその葉の形状から間違えやすいことなどを考えると、なにかいわくがありそうです。はっきりはしないけれど、取りあえず食べるのはさけておこう……。そうした本能の声があるのではないでしょうか?

調理師やシェフの方々は、ハープや香味野菜など料理の香りつけにも配慮します。それはおいしさに不可欠な要素としてとらえているからです。またこのような方々は、食べ物の鮮度にもこだわります。新鮮さとにおいの関係を熟知していて、硫黄やすえた酸味などの腐敗臭もごく低濃度の段階でわかりそうです。

原始社会では食品のにおいに敏感なことは生死にかかわる重要なことでした。よって好き嫌いではなく、においで危険なものは食べませんでした。いまは食の歴史から、危険なものとの選別が行われ、経験則によって選択でき、食と香りを過去よりも楽しめるようになりました。以上からにおいに敏感だと、好き嫌いが多いのではなく、安全に食物を選ぶことができること、繊細な調理を味わえるということ、などがいえるのではないでしょうか?


食べ物の賞味期限は、においで判別できるのか?

生鮮食料品などを扱う、プロの販売業者や調理師の中には、経験則で状態を判断できる方がいるようです。これは検定制度の中に、においで鮮度を判断するという項目があるわけではありません。特に生鮮食料品の中でも熟成期間をおく肉の場合、まだ骨がついたままの肉の塊の熟成具合をにおいで判断し、出荷時期を見分けるようです。ただし、においはあくまでも判断材料の1つで、色や水分保有状態や触感などもあわせての判断となります。ほかにも魚や卵などを販売や調理現場で取り扱うヒトたちの中には、これらからにおう腐敗臭で判断するヒトもいますが、そのほかに目で得た情報もあわせて判断しています。もとより食品には消費期限表示が義務づけられていますので、においだけで判断すると
いうことはないでしょう。

しかし、昔の主婦の鼻はそれをしていたのではないかとの推測はあります。冷蔵庫がまだ普及していなかった昭和初期のことです。当時の人たちは買った日付と自分の鼻でにおいを嗅いで、食べられるかどうか判断していました。いまのように保存料などがまだ多くなかった時代です。腐りやすいものは早く食べる。買いおきはしない。こまめに必要な分だけを買う。旬のものを食べる。などの方法でしのいでいました。この鼻の感覚が鈍ると、夏場は家族で食中毒になってしまいます。一家の主婦は責任重大でした。

東京都庁には、昭和24年から現在までの食中毒についての発生件数と患者数の統計データがあります。これで見ると統計が取られ始めた昭和24~50年ごろまででは発生件数、患者数がともに高く、平成に入るとそのほぼ3分の1程度に減少しています。まで死亡者数で見ると、明らかに激減しているのがわかります。しかし、冷蔵庫の普及率との相関、保存料などの加工食品の市場流通の影響はここでははっきりとは見られません。よって昭和の主婦が嗅覚で食品の危険を察知していたと、このデータではいいきれません。また食中毒菌がついたからといって特別なにおいを発するわけではないので、においで食中毒を予防するということはできないことになります。

ただ、冷蔵庫がまだ普及していなかった当時の死亡率が高いのが気になります。それと同統計は、外来を訪れた患者で医師の判断による届け出をもとに構成されていることも。病院に行っていない潜在患者数がいまよりも昭和のころは多かったことではないでしょうか? そしてスーパーマーケットができる以前は、食品には消費期限の義務表示などはまだ制度として存在しません。八百屋さんや魚屋さんが、その日仕入れたものをその日のうちに売りさばいていました。それらの食品は現在のように発砲スチロールのパックに入り、賞味期限のシール表示はありません。「お肉00グラムください」の量り売りです。その日のうちに食べきっていれば、問題はないのです。

これらの状況とあわせて考えると、食品の消費期限の表示がなく、防腐剤や保存料を使用した食品が少なくて、冷蔵貯蔵がいまより困難だった時代をすごしていた方々は、もしかしたら生鮮食料品や加工ずみ食品の腐敗臭を敏感に嗅ぎ分けていたのではと推測できます。嗅覚と、もちろん変色度合いやドリップなども目で見て、判断材料としていたのでしょう。当時の科学的データが残っていないのは残念ですが、近いのが現在の中国など近隣のアジア諸国です。これらの地域での聞き込み調査、官能テストをすることで、ヒトの嗅覚が発揮されることが裏づけ調査できるかもしれません。

温度や湿度は違いますが、その条件ができるだけ近い状況の国を選択して、原始的な状況の嗅覚調査が望まれます。ただ、対象国の人々の胃腸が日本人と比較してじょうぶだったとか、寄生虫など不衛生の環境にも強いとか、そういうオチにならないような配慮が必要です。 


トイレのにおいの元

それはアンモニアです。アンモニアは窒素からなる化学物質で、ヒトの粘膜系を刺激するにおいをともないます。ツンとする部分はアンモニアの臭いです。カルキ臭については、尿素がたまって石化した尿石のにおいでしょうか?

ここでにおいのもととなるアンモニアが、尿からつくられる過程をご説明します。ヒトの尿は約98%の水と、タンパク質の代謝で生じた尿素を約2%含みます。そのほかに微量の塩素・ナトリウム・カリウム・マグネシウム・リン酸などのイオン、クレアチニン・尿酸・アンモニア・ホルモンで構成されます。排出して時間がたつと、尿素が細菌によって分解されアンモニアが発生します。これが、トイレの刺激臭のもとになります。

特に男性の場合など、うまく便器におさまらない尿が飛び散って、トイレの壁や床にしみつき、そこからアンモニアが発生し、トイレ全体にアンモニア臭が漂うというケースが考えられます。毎日使うものですので、気がついたらこまめにふき取ることをおすすめします。布には中和を考えクェン酸やミョウバン液などをしみこませてから、ふき取りましょう。またトイレ内からのにおいに対しては、かつてガンコなトイレの汚れにガッブリと取り組む強力な塩素系のトイレ用洗剤がありましたが、いまでは環境や人体に配慮した、おだやかな塩素系の製品もあるようです。

さて尿ですが、以前飲尿療法がはやりました。汚い排泄物を飲むなんて、不潔きわまりないと思います。でも、実は尿は腎臓で血液をろ過してできたもの。だから腎臓が健康な場合は、排出されてすぐなら無菌状態。切り傷からでた自分の血をなめることこ同じような行為ともいえるのです。ただ、そんな意外な一面をもつ尿も、空気や細菌にふれると分解し、激臭をともなうアンモニアヘと変化します。水の節約を考えて流すのを止めている方はご注意を。その結果、トイレにアンモニア臭が充満して、においが壁に付着。便器にも尿石が付着と、かえってそのあと始末に余計な出費がかかりそうだと思いませんか?

また、トイレの芳香剤には、よく金木犀の香りが使われていました。初代大量生産系芳香剤とでも名づけましょうか。これは水洗トイレではなかったころ、トイレの悪臭よりも強いにおいが金木犀しかなかったということのようです。中世のフランスの悪臭を、強い香水の香りでカバーする消臭の考え方と同じです。その金木犀の芳香剤は、最近ではあまり見かけません。それは、水洗以前を知る人に「金水犀=トイレの香り」というイメージがしみついてしまったからです。その結果、トイレの芳香剤の主流は、金木犀からほかの香りに切り替えられました。

しかし、いまの水洗トイレしか知らない世代では、金木犀=トイレの芳香剤イメージは払拭されています。いつの日かまた、トイレの芳香剤として金木犀が復活する日もめぐってくるかもしれませんし、部屋の芳香剤にグレードアップする可能性もあるでしょう。昔トイレの芳香剤で金水犀の香りを使っていた人が天国から、「ああ、歴史が繰り返している」とよろこぶか、「ああ、トイレの香りが、居間の芳香剤になるなんて」となげくことになるかは、神のみぞ知るでしょう。

補足として、昔よく「ハチに刺されたらおしっこをつけるとよい」といわれました。これは虫さされの薬にアンモニアが入っていることから生じた誤解では、と推測されます。薬に入っているアンモニア成分と尿のアンモニアとは性質が異なります。各種虫に刺されたときは、虫刺され用の薬を使いましょう。

ほかにも尿ネタでは「ミミズにおしっこをかけたら局部がはれる」がありますが、ミミズは地竜ともいい田畑の肥沃化には重要な生き物だったため、それを敬うことを子どもに意識づけるための、いたずらの抑止力的効果をもった言い伝えと考えられます。


家にある独特のにおいはどうして?

においにはさまざまな性質があります。アロマテラピーで使う精油など、揮発性の高いにおいは、すぐに空気中に分散して消えていきます。それで、化粧品には揮発しにくいヨノンという物質が使われています。揮発しにくい消毒薬の原料であるオイゲノールは、残留しやすいにおいの代表格でもあります。知らず知らずのうちに取り扱い者の衣服や皮膚に浸透し定着していきます。

職業臭のように毎日接している香りは知らず知らずのうちに壁に柱に家具に定着していき、その家独自の香りとなります。

家族の生活習慣がしみついたのが家の独特のにおいなのです、ペットを飼っている家は、そのペットのトイレのにおいや生き物独特の体臭などが、家のにおいとしてしみつきます。ヘビースモーカーの家がタバコくさい、焼肉好きの家では肉の脂が焦げた香りがいつもするように、じわりと日々浸透しています。換気をよくしていても、毎日のことですから、においと換気・消臭のはてしない戦いです。一方でその家に暮らすヒトは、鼻がそのにおいに慣れてしまっているので、さっぱりわかりません。訪問者がきて「なにかにおいますね」と言われて初めて気づかされる、お恥ず
かしい事態を招きます。これが、シックハウス症候群にみられる、ホルムアルデヒドやトルエンなどの揮発既有機化合物など危険な化学成分のにおいなら、危険度も高いですから気づきます。さすがに「この家、卵が腐ったような温泉のイオウのにおいがしますね」ということはないでしょう。あったらかなり危険です。ベットやタバコや焼肉はその家に住む人の大好きなものなので、気づきにくいという落とし穴があります。困ったものです。

こうした家はまず換気を考えてください。そしてにおいの原因は、ペット(獣臭)、タバコ(煙)、焼肉(油煙)などです。

タバコを吸うときは外で吸う、焼肉や焼き魚などをするときは窓を開けて、換気扇を回す。そのうえで消臭剤をフル活用してください。また、香りは高温高湿度条件下で強く香りますので、この逆の状況では抑えられます。家ににおいがしみついてしまった場合は、エアコンをドライに設定し、低温低湿度に家の環境を整えてから訪問客を迎えると、においのトラブルを比較的抑えられるでしょう。

しかし、北国の冬など密閉性が高い住環境だと、なかなか換気が難しい場合もあります。北国でなくても、最近のマンションは気密性が高く、冬は同様の環境といえます。すき間風がある家は寒いけれども始終換気されていたので、においが外へ流れていたのです。しかし、いまはそのようなことはないでしょう。

人工的な消臭剤が苦手だという人は、強い香りでマスキングする以外の香りを使う方法があります。昔の日本では香をたいて、訪問客を出迎えるという習慣がありました。消臭剤の香りとはひと味違った、風流な演出としっとりと奥ゆかしい香りが、お客様にも喜ばれることでしょう。人工的な香り、消臭剤でマスキングをする以外にも、精油(アロマオイル)を使うと、自然なやさしい香りがたちこめます。テイーツリーオイルだと、蚊やダニなどへの防虫効果も期待できてうれしいですね。いまは安全性の面から、火を使わない電気のアロマポットもあります。精油のやさしい自
然の香りも、幅広く受け入れられる香りです。

また、鉢植えのハープもよい香りを産生します。ペパーミントやカモミールなども育てやすくていい香りを漂わせてくれます。自然に香るハープの鉢植えを、あちこちに置くのも1つの手でしょう。あとは、脱臭効果のある備長炭はオブジエとしても成り立ちます。玄関や居間にカゴに入れて飾る、または重曹などをガラスの器に入れて盛るなどすれば、さりげなくインテリア+脱臭という合わせ技も使えます。

家の生活習慣がしみついたにおいは、なかなかとるのは難しいものです。意識して、においをつけないように配慮をすることが重要です。人工的な消臭剤を使わなくても、いくつかワザを利かせて対処はできます。来客時に香りでおもてなしができると思えは、すてきな習慣ではないでしょうか?


アロマテラピーは体への害はないのか?

日本ではその治療効果を医師会などで正式にまだ認められてはいませんが、海外ではアロマテラピーを医療行為の1つとして認めている国もあります。よって、実は取り扱いに注意が必要なものなのです。

セラピストを養成している学校では、まず精油(アロマエッセンシャルオイル)を直接肌に塗布することは禁止しており、かならずホホバオイルなどで希釈するようにと指導しています。これは濃度が濃いままで肌に塗ると、アレルギーなどによる湿疹や肌荒れなど肌トラブルを生じる危険性が想定されるからです。そのためオイルなどで希釈して使う場合でも、なんらかのアレルギー保侍者や皮膚が弱い方は、一度パッチテストをしてから使用を判断したほうが、トラブルを防げて安心でしょう。

アロマテラピーでは、妊婦特有のむくみや妊娠腺の予防などにも効果があるトリートメントを施すことも可能です。しかしその一方で、ジュニパーなど排出作用のある精油もあります。こうした解毒作用があるものについては、流産など胎児への影響が懸念されますので、事前に医師と相談するはうがよいでしょう。

子どもへの影響については、最近ベビーマッサージがはやっているようですが、おもに希釈に使われるホホパオイルやアーモンドオイルを使っており、精油成分は入っていません。3歳までの幼児に対しては、部屋の中に香らせる芳香療法はよいのですが、塗布するのはすすめられていません。大人よりも弱い赤ちゃんの肌には、薄めても刺激が強いのでしょう。

そしてアレルギーの間題もあり、3歳児以上でも子どもへは大人よりもさらに薄めて使われているようです。同様に高齢者に使うときも濃度への配慮が必要です。

そして精油について、日本にはJAS法や日本薬局方のような製造に関する統一規格というものがありません。よって、合成の香料を配合したオイルと混同して使用するのはあまりおすすめできません。 100キロのパラの花びらからは、たった20mLの精油しか採れません。精油は蒸留法や超臨海抽出方法、まれに溶剤方法など、手間がかかるうえに採取される量もそれほど多くないのです。そのため、オイルの質はある程度価格に反映されているということもできます。判断材料の1つとして検討してみてください。 


香りと天気・湿度の関係

シルクロードで有名な中国のウイグル地方など、水がない砂漠地方では、乾燥しているためにお風呂に入らずとも体臭が気にならないといいます。都市伝説のようなまことしやかな話ですが、あながちうそではないのでしょう。

それは香りの性質によります。揮発性と粘着性という2大陸質から、湿度・温度との関係を考えてみましょう。

一般的に香水でもトップ・ノートとして使われるオレンジ系の香料はアルコールなど、揮発性の強い香り成分の代表選手は、すぐに空気に分散し、消えていきます。一方で、同じ温度や湿度条件下でも、粘着性の強い代表選手ラスト・ノートとしてよく配合されるウッディ系の香りは、長くとどまります。また、温度が高いほど、においの空気中への発散が高まり、低いほど弱まります。切り花を買ってきて、においが薄いなあと思ったとき、手で花を温めてにおいを嗅ぐと、ふわっと香りが漂ってきます。この現象といっしょです。温度が高まると、香りは揮発するのです。

湿度については、湿度が高いほど香りはまとわりつくように残り、乾燥しているほどすぐに気化していきます。梅雨の時季の日本では、湿度が高く温度も年間平均よりも高い場合が多いので、香水をつけたときに、冬よりも香りは長く残りやすいということです。この時期に香水をつけるときには、香りすぎないように注意が必要です。

次にヒトの体臭を考えてみましょう。ヒトの体表では、活発に汗による体温調節が行われています。水が蒸気に変わるときには大量の熱が加わります。水1グラムの温度を1℃上げるには、1カロリーの熱量が必要です。水1グラムを0℃から100℃に上げるには100カロリーがいることになります。でも100℃の水1グラムを同じ温度の水蒸気に変えるには、500カロリー以上の熱が必要なのです。約5倍以上の熱量が、水蒸気化に費やされます。汗に戻りますと、体表から水分が汗としてしみでて、蒸発するときにこれに相当する熱量が放出されることになります。体温は、署いときにはこうして体内にこもる熱を放出することで、下げて維持されているのです。

ミツバチの例を取ると、ハチたちは巣穴の中で羽で風を送りながら巣を冷やします。巣穴の温度が20℃台後半に達すると、送風だけでは冷やしきれず、今度は水を外にくみにいきます。帰巣したハチたちは水を巣に吐きだして、薄い水の膜や水滴をつくったあとに羽で風を送り、気化させることで巣を冷やしているのです。

よく見かける、ネコやネズミ類が体をなめている光景は、毛づくろいだけではなく、この蒸発作用をうまく利用して唾液が蒸発する効果で体温を調節するためのものなのです。ただ、イヌにはこうした器官がないため、短く呼吸をしてのどから蒸発させて熱を発散する方法を取っています。

さて、ヒトの場合はどうでしょう? 汗をかかなくてもヒトは1平方センチあたり1時間で5ミリグラムほどの水が蒸発しています。季節によりますが、ヒトは平均して1日に1Lの汗をかいて体温を調節しています。外の気温の状態に応じて、汗をかくことで急激に体を冷却するしくみには、大事なポイントが1つあります。それが湿度です。湿度が高くて、汗が皮膚表面につく速度よりも早く蒸発できず、皮膚を流れ落ちてしまうと気化熱によるこの冷却作用ができなくなるからです。サハラ砂漠のような体温よりも温度が高い、熱波の厳しいところでは、ヒトは座っているだけて
1日に約8Lの水分が蒸発していきます。運動した状態だと、1日に約16Lの水分を失います。常に水分補給をしていかないと、脱水症状で干上がってしまいます。約4Lの水を失うだけで、疲労と発熱に至ります。約8Lを失うと、意識がもうろうとして呼吸困難が始まります。約11Lになると、応急処置がないともうだめです。

こんな状況なのになぜ、ヒトはサハラ砂漠のような場所でも生きていけるのかというと、段階をふんで暑さに体を慣れさせていくことで、多量の発汗をしても生きていけるように体を高温乾燥状態になじませることができるのです。この適応によって、ヒ卜の汗の状態も塩分の浸出が抑えられて、カリウムとともに体内に残り、恒常吐の維持が可能になるのです。

サハラ砂漠という環境下でも、ヒトが生きていけるのがおわかりでしょうか?

高温低湿度の砂漠で生きていくように機能しているヒトのは大量にかいても塩分濃度が低く、すぐに気化してしまうため、体表で微生物がさまざまな活動を行えるほどの水分を皮膚上に残さないのです。ワキなどのアポクリン腺や皮脂腺からしみてこ分泌物も、乾燥状態で死滅寸前の微生物に分解されることなく、乾燥して垢とともに体から抜け落ちていきます。

体臭の原因となる微生物による腐敗や酸化が起こらず、そのうえ汗もすぐに気化してしまうので、無臭とはいえませんが、体臭はそれはどきつくなる要因がないといえます。また鼻の粘膜も乾燥状態だと、においへの反応が鈍くなります。

環境条件によって、ヒトの体質変化と皮膚表面などの状況変化が起こり、そのうえ鼻の状況も変化し、これにより乾燥地帯ではお風呂に入らなくても、熱帯地方はどにおいがきっくならず、気にならなくなるのです。しかし砂漠地方では、ヒトの体臭がまったく気にならないということではありません。なぜなら、アラビアでは9世紀ごろには、香りを楽しむためのパラ水がありました。

また10世紀には精油の蒸留方法をイブン・シータが発明。十字軍の遠征とともにヨーロッパヘと伝えられ、現在のアロマオイルの原型となっています。香水の希釈となるアルコールも、アラビアの発明です。また日本の香道と同様に香料である沈香や乳香を火にくべて、その香りや時にはその煙の香りまで楽しんでいます。香りが飛びやすい高温乾燥地帯だからこそ、長く続く香りに試着し、数々の発明品が登場したのかもしれません。


世界には日本で嗅げないにおいがある

強烈な刺激臭をもち、ホテルに出入り禁止を言い渡されている果物があります。それはドリアン。果物の王様とも称されるこの果物は、実際ものすごいにおいです。その一方で、クリーミイな舌ざわりと濃厚な味わいがあり、日本でも高級果物として販売されています。原産国とは気象条件が違うせいか、ホテルににおいが残るくらいの強烈さは、日本では影をひそめています。ポピュラーではないせいか、タイのようにホテルにドリアン出入り禁止マークが貼られている光景は見あたりません。

日本には各国のレストランが出店し、本場さながらの味を再現しています。海外に行かなくても、タイのコブミカンの葉やシャンツアイ(香草)などのアジアンハーブを使った現地料理を堪能できます。しかし、ことドリアンに関して、現地の風味を味わうことは難しいのかもしれません。やはり現地におもむき、湿度や温度の高い、肌にまとわりつくような熱帯の空気の中で感じなければ、本当のドリアンの激臭は体感できないのです。
 文化や習慣によって受ける衝撃をカルチャーショックといいます。テレビで世界を疑似体験できるいまでは、死語ととらえられるかもしれません。海外旅行に気軽に行けなかったころは、東南アジアや中近東のスパイスがこの類に入る、旅して初めてわかる衝撃的な香りでした。現在、世界各国の料理店が軒をつらねる日本で手軽に現地の味を追体験できるようになり、その衝撃ははかつてほどの威力はなくなりました。 しかしドリアンの例は、温度や湿度条件によって揮発状況が違ってくる「におい」だけは、輸入してもその再現が不可なのだと教えてくれます。インドのスパイスミックス、カレーの味を支える鍵、ガラムマサラもしかり。これは彼の地では袋に詰められて道ばたに露出され、販売されていま
す。路上の砂ぼこりゃ空気中に舞うチリなどが、スパイスの香りに現地の深みを加えている可能性はいなめません。

また、日本で体験できないにおいの中には、ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)で輸入が禁止されているものが挙げられます。それは聾香です。いま私たちが嗅いでいる爵香のにおいは、合成ムスクか、ほんの少々飼育されているジャコウジカから採れる春香か、そのほかの類似した動物から採れる春香ということになります。

麝香とは、ロシア・チベット・ネパール・インド・中国などに生息するジャコウジカの腹部から香嚢(ジャコウ腺)を採りだし乾燥させたものです。1匹からたった30グラムしかとれない麝香の 特徴は、乾燥してアンモニア臭が抜けると、甘く芳しい香りが長く続くこと。興奮作用や強心作用、男性ホルモン様作用といった薬理作用の点から、インド・中国では有史以前から香料や漢方薬としての使用歴があり、アラビアでも12世紀ごろから香料として重宝されていました。日本でも漢方薬として一般に市販されている、誰もが知っているとても身近な薬品に配合されていたのです。

それがこの成分の採取のためにジャコウジカは乱獲され、かつては年間1万~5万頭もいたとされていたものが、ついに絶滅の危機に瀕してしまいました。そのため、ワシントン条約の附属書Iの取り扱いとなり、この地域のジャコウジカの商業目的の国際取引は原則禁止です。

日本は1980年11月にワシントン条約の締結国になりました。箭香は漢方薬として使用していることから、契約当初、ペッコウの原料となるウミガメやタイマイ、薬効のあるジャコウジカなどの9種を留保していました。その後、段階的に条約を受け入れる体制を整え、1994年7月末のタイマイを最後に、留保を全撤回しています。

現在、香料使用の麝香の甘い香りは、その香料成分ムスコン、「(R)3-メチルシクロペンタデカノン)と構造は違いますが、よく似た香りの合成香料である合成ムスク「キシレンムスク(1-tert-ブチルー3.5-ジメチルー2、4、6-トリニトロベンゼン)」などが使用されています。動物由来で似たような香りをたす動物にジャコウネコやジャコウネズミ、ジャコウアゲハが挙げられます。

地球の肺と称されるアマゾンに生息するクスノキ科の香水ローズウッドも、同様にワシントン条約で2007年に規制の対象となりました。年々乱獲のためにその種の保存が危ぶまれてきているからです。原産地であるアマゾン熱帯雨林の約70%が集中しているブラジルでは、近年牧畜・大豆などの換金作物のための焼き畑農業などで、酸素供給源となる森林の伐採が進んだため、現在はその保護に着手しています。またアマゾンの豊富な薬用植物が各種薬剤などのもとになるため、この種の保存から輸出規制に取り組んでいます。

ローズウッドは、もとはお隣のフランズ領ギアナ産のローズウッドが有名で、精油用途や楽器・家具などの木材に使用されていました。しかし乱獲のため絶滅危惧種になり、1920年以降ギアナ産はほとんど生産されなくなりました。それに取って替わったのがブラジル産です。ギアナ産とは多少香りが異なるブラジル産も、現在はギアナ同禄の道をたどり、絶滅の危機に瀕していることから、ワシントン条約締結国際会議において審議され、この附属書Iの扱いで保護することとなりました。

はかには日本の食品衛生法上や検疫で、持ち込みが禁止される動植物、畜産物加工食品などがあります。農林水産省の管轄の検疫では、タイのマンゴーで基準に応じた消毒処理を施しているものは、個人で持ち込みができるようです。逆にオーストラリアのマンゴーは全面禁止です。厚生労働省の管轄の検疫では、鳥インフルエンザやBSE問題が確認された欧米諸国から肉類の加工品が禁じられています。これらの食品も、やはり現地に行かなければわからないにおいに入ります。このほかに外来生物法で、国内の種の保存を脅かすような動植物も持ち込み禁止です。

外来生物法で危機的状況になるのがトマトです。ハウス栽培のトマトの受粉に使われていた西洋オオマルハナバチ(以下マルハナバチ)が、2005年にこの外来種規制の対象となりました。虫媒花であるトマトがハチを使うことで、ハウス栽培でも自然の形で受粉できるのは大きなメリットでした。それまでの水っぽいと悪評だったホルモン受粉(自家受粉)のトマトよりも、昔ながらの酸味や甘みが濃いトマトの味に近いということで、順調にマルハナバチトマトは市場を伸ばしていたのです。しかし、この規制は使っていたトマト農家にショックを与えました。これを受けて現在ては、在来マルハナバチ種への切り替えや、虫媒風媒を必要としない単交配種の採用なども行われています。これにより、近い将未にトマトの風味がまた変わることがあるかもしれません。

最後に日本に絶対持ち込んではいけない最たるものは「拳銃」です。警察官でもむやみに発砲することがなく、射撃場もないので、一般市民が拳銃を撃つ機会はありません。よって、射撃したあとの薬莱から漂う火薬臭は、ハワイや韓国に行かなければそのにおいを体験できないでしょう。また日本は国境が海の島国であるため、国境越えのときに感じる国と国の香りの違いも、行ってみなければわからないにおいでしょう。 


日本にしかない香り

学名「ユートレマ・ジャポニカ」。または[ワサビア・ジャポニカ」日本原産のこの植物はおわかりですね。そう、日本独特の料理、お刺身には欠かせない薬味です、このワサピの香りは和食が世界的に流行しているいまでこそ、世界をめぐっていますが、それまではほぼ日本固有のものでした。

ほかのアジア圏でも、ワサビを食べる習慣はなかったようです、というのは、ワサビのつ~んと鼻に抜ける刺激臭が、お隣の韓国でさえ、なじみがなかったからとか。唐辛子の舌への刺激とワサビの鼻に抜ける刺激は別ものです。アジア圏ではワサビ特有の変わった刺激になじめなかったことなどが、推測できます。欧米にもなかなか広まらなかったのは、味噌・醤油などの和食の基本の発酵食品臭に慣れていない外国人には、日本食が受け入れられていない状況からでした。

その後、世界的な健康食嗜好の高まりから和食にスポットがあたり、欧米で特にSUSHIブームが起こり、農林水産省が日本食認証制度までだして、その質の維持に努めることにまで発展していますから、世の中はどのように変化するかわかりません。来日しだ外人が「母国よりも安い白と嬉々として回転寿司をほおばる姿は、見ていてうれしいような、魚を食べっくされてしまうような、複雑な心境です。もちろん、寿司はサビ入りです。この和食ブームにより、ワサビもWASAB1として欧米で広まっています。しかしアジアの仲間の国ではどうでしょうか? ショウガやコショ
ウ・唐辛子・ニンニクなど、アジアではアジア圏特有のスバイスを使った料埋かつくられています。でも和食の普及とワサビについては、まだ欧米ほどのニーズはないようです。

味覚と嗅覚が表裏一体のように、食文化の輸出がなければ、まずその国特有の料理に関する香りの伝播もなさそうです。醤油・味噌・納豆・日本酒などの発酵食品は日本特有のもの。ただし、醤油や味噌は、中国や韓国などの北方アジア圏では少し変わった形を取って展開されていますので、日本特有といえるのは日本酒の香りに絞り込めるでしょう。

ただ醤油については、外国人が「日本の空港に着くと、醤油の香りがするjとよくいうようです。日本人と醤油は、切っても切れない関係なので、ここはやはり、日本酒とともに醤油の香りを日本特有の香りとして、ランク入りさせる必要がありそうです。

嗜好品では緑茶が日本特有の香りをかもしだしています。お茶 大国、中国にも緑茶はありますが、日本の多くの茶どころでは摘んだお茶を蒸すのに対して、釜煎りの方法を取っています。中国のお茶は香りを重視した製法で、日本よりも多くの回数浸出させて飲むことができます。一方で、日本の緑茶は味を重視した製法で、まろやかでふくよかなお茶の味を楽しめます。その緑茶を粉末にした抹茶こそは日本独自のもの。アイスやクッキーに見られる抹茶フレーバーのお菓子は、日本オリジナルの味です。

また、葉茶や茎茶を炒った、香ばしいお茶・ほうじ茶は日本独自のもの。またこれに玄米を入れた玄米茶の香りもあわせて日本に特有のお茶、日本固有の香りといえます。日本固有というだけなら、昆布茶もあるのですが、あの微妙な香りをどう表現していいのか、どちらかといえば、昆布には旨味を任せるとして、この場は含まないことにしましょう。

また、葉や花を塩漬けにしてお茶や和菓子に使用する、日本を代表とする花、桜も日本ならではの香りといえるでしょう。環境省は平成13年に日本固有の香りと風景を伝えるために、「かおり風景100選」を全国47都道府県から募集しました。選ばれた中には、国内シェア70%を誇る静岡県松崎町の桜葉の塩漬けの香りが入っています。

最後に日本式家屋ならではの茅葺屋根と畳にご登場願うことにしましょう。いまでは数少ない日本の原風景である茅葺屋根のにおいは、干しわらなどのにおいに似ているそうです。またあの葺き替えたばかりの青々とした畳のにおいは、若草のすがすがしいにおいがあり、さわやかでいいものです。ただ残念なことに、価格の面で中国産原料に取って代わられていることです、日本独特の文化遺産が海外からの資材でまかなわれているのは、資源がとぼしい国の悲哀を切に感じてしまい残念です。


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