消臭について
無臭には基準がある
においの強さを表すときの基準として使われる数値があります、これを闇値といいます。閥値は嗅覚(におい)を起こすために必要
なにおい物質の最小濃度を示します。閥値は容積の割合で得られます。単位はppm(100万分の1)。そのほかに空気1L中に含ま
れるにおい物質の重さ(グラム数)や、空気1立方センチあたりのにおい物質の分子量で表す場合もあります。
閥値には2種類あり、においがあるのはわかるけれど、なんのにおいかまではわからない場合の検知可能闇値と、なんのにおいか
まで判定できる場合の認知可能闇値があります。また、個人の嗅覚による個人嗅覚閥値、正常な嗅覚をもつ複数の人の半分以上が
感知できる濃度を表す半数嗅覚闘値があります。これを前提にして、においの感覚的な強さは右表の6段階に分類されています。
このにおいの場合、臭気強度がちょうど1段階上がるごとに値も約7倍ずつ上がっていることがわかります。しかし、この段階分
けは人間の感覚に依存しているもので、すべてのにおい物質がこのような結果になるとはかぎりません。また、同じような理由で、
強度「1」と強度「2」の差が、強度「3」と強度「4」の差とかならずしも一致するとはかぎりません。
悪臭を判断するのも、ヒトの鼻で行っています。 2002年に東京都は関係条令を改正し、都市部で増えている飲食店などの苦情に
対応するために悪臭防止法の規制基準にヒトの鼻で悪臭を感じるかどうかを判断する、臭気指数方式を導入しました。この臭気
指数とは対象になる場所で採取した空気を徐々に薄めて、6人以上の判定員ににおいを嗅いでもらい、悪臭と感じる濃度から算出
する方法を取っています。意外にもにおいの判断は精神的状況や健康状態に左右される、ヒトの鼻にゆだねられているのです。あ
いまいさが少しおわかりいただけましたでしょうか?
完全にタバコのにおいを取る方法
タバコのにおいはタールの揮発性粘着成分がしみつくことで発せられます。国産タバコの中でいちばんタールの含有量が多いセ
ブンスターでは、タールが1本あたり31.4ミリグラム、ニコチンは2.66ミリグラム、副流煙中に発がん性物質のベンツピレンは113
ナノグラム入っていることがわかっています(平成11~12年「たばこの成分分析について」厚生労働省調べ)。1本吸っただけでも
口の中にいがらっぽいような成分が残るのは、吸った経験があればおわかりでしょう。この粘着質のタール成分が間題なのです。
タパコには強い中毒症状を起こし、継続使用に向かわせる麻薬的な成分ニコチンを始めとした、約400種類といわれる含有成分を含みます。その中でも有害にして間題児がタールなのです。
タールとは油匪液状の複合成分です。発がん・毒性物質でもあるタールは、タバコに含まれる粒子分子のうち、フィルターに茶色く付着する、いわゆるヤニのようなべっとりしたものの総称です。ベンツピレンなどを始めとして100種類以上の発がん物質やニコチンを含む粒子で、煙中ではエアロゾル状になっています、ニコチンは油状無色の吸湿性液体で20℃で気化し、空気にふれると茶色になります。コカインと同様の、麻薬的な精神作用をもっています。
タールは油状液体ですが、浸水性がありますのでこまめに水ぶきしたり、洗濯・洗髪することで、部屋や家具、洋服や髪についたヤニくささを取り除くことができます。また空気中に煙として漂っているときにしみつく前の手段として、空気清浄機などでの換気や、濡れタオルを部屋でぐるぐる回して、タールやニコチン成分をタオルに吸着させてしまうといった方法があります。
またいまは、エアコンも空気清浄機能や活性炭フィルターつきのものが多くあります。こうした機能を積極的に利用しましょう。また活性炭やコーヒー、紅茶の出がらしはこうしたにおい成分を吸着しますので、気になる部屋には多めに置くのもいいかもしれません。しかし、あくまでも積極的にヤニ成分を吸着しにいくものではなく、受け身に徹しているものです。ヘビースモーカーで、強力なヤニをしっかり部屋から除去したい場合には、空気清浄機やエアコンにがんがん吸い取ってもらうのがいちばん強力です。電気代はかかりますが、タバコを吸うための必要経費ととらえてみてはいかがでしょう?
そうした努力を横着していたためにヤニが部屋の壁にしみついてしまった場合は、思いきって壁紙を変えるというのも1つの手です。また、天井の木や白木に付着してしまったヤニは、エコ家事では酢水。または住宅用洗剤や漂白剤などで取れるそうです。天井に漂白剤をかけて磨く場合は、危ないので業者に頼むのがベストでしょう。
衣類や髪の毛は、こまめに洗うことで対応できます。服にしみついて、酢水や洗剤で洗っても取れず、香水などを軽く吹きかけてもタバコのにおいが残るようでしたら、それはすでに繊維の中までヤニ成分が浸透してしまっている状態です。ここまで浸透してしまったら残念ですが、より強い香水でマスキング処理して、だましながら着ていくか、思いきって処分するかを選択してください。髪の毛については、女性向けにタパコのにおいに対応する整髪剤やヘアスプレーなどが市販されています。
最後に、タバコは健康を害するとパッケージに表示され、WHO(世界保健機構)でも危険性を指摘している、唯一の嗜好品です、嗜好品としてこの世に生まれたからには、長く人類に愛される存在理由呻毒性でし上うか)もあるのでしょう。しかし、発がん性を始め、疾病との関連性がわかるにつれて、日本での成人の喫煙率は1966年ごろ(「男性83.7%、女性18.0%」をピークに、2006年では全体で26.3%(男性41.3%、女性12.4%)と減少傾向にあります(JT調べ)。
また、日本国内のタバコ販売数量は、1996年度の3483億本をピークに少しずつ減少しており、2007年度には2700億本(国産1749億本、外国産950億木)に至ります(日本たばこ協会の資料)年々減ってはいますが、2002年の米国では23.6%(男25.7%、女5%、2002年度WHO調べ)と、日本の減少している2006年でもたちうちできない数字に驚きます。タバコ王国=米国と信じていたのに、あっさりと米国に裏切られたような印象です。
タパコのにおい取りについてこうして調べてみると、なにも1箱1000円に値上げしなくても、タバコはけっこう高くっく嗜好品のようです。
2006年4月からは日本でも喫煙者は患者と認められて、禁煙外来もでき、禁煙椙談に保健もきくようになりました。ここらで1つ、思いきって禁煙にトライしてみるのはいかがでしょうか?
なぜタバコのにおいは、なかなか消えないのか
甘辛いタレとウナギ脂の焦げたにおいが、もくもくと立ちあがる煙とともに漂ってきて、食欲をそそられてついつい、ウナギ屋さんの前で立ちどまったことはありませんか?
焼き鳥も、鳥の脂が焦げた香ばしさとジューツと焼ける音にああ、焼き烏とビールで1杯やりたいなあ、と心くすぐられたことは? 野外パーベキューも同様に肉の脂が焦げるにおいは食欲をそそります。でも困ったことにこの煙がにおいとともに髪の毛や服についてしまうことが多いのです。まさか、屋外に焼肉屋でよく見る無煙ロースターを設置できませんしね。
これら食べ物の脂のにおいの煙とは、油性と水溶性という極性面が違っていても、タバコ同様に煙がにおいの犯人です。
煙は有機物などが不完全燃焼したときにでる微粒子を含んだ空気のかたまりで、その含むものによって灰色や黒色の煙がでます。 煙が黒色になるのは炭のススが含まれているからです。このススを利用して書道に使う墨汁がっくられるなど、煙はかならずしも 悪者というものではありません。
さて、タバコの煙には有毒物質ベンソピレンを含むタール成分を始め、約4000種類以上の化学物質が含まれています。気になる のは有害な化学物質で200種類超。この中でベンゾピレン、メチルエチルニトロソアミン、ジメチルニトロソアミンなど発がん性がわかっているものだけでも43種類にのぼります。タール成分はがんの原因になる発がん性物質のかたまりなのです。吸い込んだタバコの煙は肺に付着し、どす黒く変化させたうえにその働きを低下させます。1日に20本のタバコを吸う人ヒトは、1年でおよそコップ1杯分のタールを身体の中に入れているという、恐ろしい報告もあります。タバコを吸うヒトの歯が黄色くなっている理由も、同じです。口の中のタール成分がこびりついているのです。
ところで、タバコの煙は大きく3種類に分かれます。喫煙時にタバコやフィルターから口腔内に入るのが主流煙。酸性です。口から煙として吐きだされると呼出煙。火がついたところから立ちのぼると副流煙となります。副流煙は、アルカリ性で目や鼻などの粘膜に刺激を与えます。この副流煙に有害成分が多く含まれていて、曲者なのです。
煙は主流煙にしろ副流煙にしろ、いずれもエアロゾル(液滴)の形状の「粒子相」と、気体からなる[気相]に分けられます。元来、タール成分は無臭の液体ですが、タバコの刻み葉の中にいるときはまだ液状ではありません。そして性質は温度で変化します。タバコの火熱でいぶされて煙成分の中の粒子として、ともに空気中へ流れます。空気にふれると、茶色に変色します。空気中に煙の中で浮遊しているタール成分が空気清浄機や風が吹いて外に飛ばされないかぎりは、部屋の中を漂います。そうして身近にあった髪の毛や衣服や周りの柱や壁にたどりつき、着地します。その後、髪の毛などに付着したタール成分は、温度が下がるにつれて液状に戻っていきます。
そのまま放置すると、髪の毛や衣服の繊維や柱の本の中に、壁紙にじわじわっとしみこんでいきます。こうして長年の間にしみこんだタール成分は、何度洗濯をしてもふき掃除をしても、取りにくくなってしまうのです。
タパコのにおいが消えない理由には、付着するものの性質も考えられます。空気中に浮遊するタバコの煙の粒子は電気を帯びて います。同じように帯電しやすいのが髪の毛や衣服です。このようなものにしみつきやすいのは、その帯電性質からなのです。帯電しやすいか、しにくいかについては、静電気が起きやすいものを考えて判断してください。
しかし、タパコのにおい物質タール成分は、水溶性ですので、タバコの煙に汚染されたな、と思ったらすぐに髪は洗髪を、衣服は洗濯を、手や日は洗浄すれば、においは残りません。でも放置しておくと、髪の毛や衣服の繊維の中まで浸透してしまい、洗っても落ちにくくなります。
皮膚は髪の毛と違う構造ですので、内部まで浸透しませんが、角質層にしみつきます。この場合は垢や角質層を落とせばよいで しょう。柱となっている白水などの場合、表面に付着するだけではなく、内部に浸透してしまった場合には落とすのは難しいのです。壁紙の場合は、取り替えることで手を打てそうですね。
こんなところまで! と思う意外な家電製品にも、タバコの煙は付着します。タバコの煙の中のタール成分などの粒子はプラスイオンの電子が帯電しています。
タバコのにおいを防ぐいちばんの方法は、近寄らないこと、2003年から健康増進法が施行され、受動喫煙の防止のために各施設において、分煙または喫煙場所を隔離するように、国は事業者に指導しています。そのため会社では分煙で守られていますが、路上ではまだまだ駅周辺以外の禁止地域は少ないのが現状です。風向きを調べて、喫煙者よりも風上に避難しましょう。
加齢臭を消す香りは?
オヤジくさい。その原因として注目されているのが加齢臭のもと「ノネナール」です。研究が進み、このにおいを消す商品も活況を呈しています。高齢化社会におけるアンチエイジングの1つとして気になる加齢特有のにおいの根源がわかるやいなや、その対処法への関心はますます高まる一方です。このノネナールのにおいのもとをたどると、整髪剤のポマードに近づきます。いまやあまり見かけ(におわ?)なくなりましたね。妙な偶然ですが、ポマードはオジサンの香りの代表格ととらえられていました。ポマードくさい=オヤジのにおい、というように。
そのノネナールは、ヒトの汗腺の近くにある皮脂線からでる脂肪酸が年齢とともに酸化した結果、「9-ヘキサデセン酸」という脂肪酸が増加します。同時に過酸化脂質も増えます。そうしてパルミトオレイン酸と過酸化脂質が結びつくことによって分解ヽ酸化され、ノネナールが生成されるのです。
これに加えて、歳を取ると汗や古くなった頭皮、皮膚などの老廃物が加齢によって十分に分解できなくなり、発してくる腐敗臭もあります。こういった加齢臭は衣類に付着することが多いので、毎日同じスーツを着ると、そのスーツに加齢臭がしみついてしまいます。できればワイシャツとともに、毎日スーツも変えたほうがよさそうです。予算と相談のうえ検討してください。
それに対して若者はなぜにおわないかというと、新陳代謝が活発で腐敗臭も分解できるために若い時期は腐敗臭などがほとんど残りません。もちろん、女性にも平等に加齢臭はあります。ただ毎日お風呂に入る習慣や、衣類を変えたり、化粧品や整髪料などの香料のにおいにマスキングされて消されることが男性よりも多いため、目立だないのです。
ノネナールのはかにオヤジ臭の原因として、ポマードのような特有の整髪料のにおい、タバコやお酒のにおいが混じっていることなどが考えられます。そのほかに、生活習慣病を発生するような状況だと、加齢臭は増幅します。脂肪過多の食生活やタバコやお酒を続けていくとメタボリック症候群(以下、メタボバこなるように、血管の中にコレステロールが蓄積し、皮脂腺にも脂肪分が増えます。分解される脂肪分が多ければ、それだけ加齢臭のもとになるノネナールもたくさん上成されてしまいます。加齢臭は、メタボの危機的サインをも知らせているのです。ふっうよりもにおうなと思ったら、メタボを意識してみてください。
ほかの体のにおいと同様に、加齢臭も食生活や衛生に気をつけることで、ある程度の修正ができます。その衛生面における加齢臭ケアで、においを消す石鹸としてF柿渋石鹸]がはやっています。柿渋は日本で古くから染料や皮のなめし剤として使用されていて、一部地域では、柿の葉で包んだ柿の葉鮨などもあります。また、やけどや血止めなどの用途で、塗ったり飲んだりして民間療法的
な使われ方もしていました。
そのうちの抗菌作用の部分が注目されて、柿渋を石鹸に導入、販売されて今日のヒットにつながったようです。その抗菌力については、ノロウイルスに対する柿渋ポリフュノールの抑制力について広島大学での実験で確認したことなどが挙げられます。柿渋石鹸が効くといわれるのは、このようにまず抗菌力があることと、有効成分の柿渋タンニンが大きな構造式をもつ縮合形タンニンで、はかの植物のタンニンよりも高分子であることで上り多くの各種悪臭成分と肌の上で化学的に反応して、第三のものに変化することができ、消臭効果を発揮するというのが考えられます。柿渋タンニンにこだわらなくとも、緑茶にも抗菌作用やタンニンがあることがわかっています。
このことから考えられるアンチノネナール対策は。
- 石鹸で洗い皮膚や頭皮を清潔に保つ
- 皮膚表面での新陳代謝を高める
- 皮膚表面でのバクテリアの繁殖を抑える抗菌剤的なものが入った石鹸や入浴剤、ローションなどを意識して取り入れる
の3つです。また、毎日同じ服を着ない。着たら洗濯することも重要です。これでノネナールがカバーできなければ、においの原因は、タバコを吸ったあとに洗髪しなかった、オヤジの香りの代表格のポマードを使用していた……。こうした原因から発せられているものでしょう。加齢臭とはまったく別の要因から発生しているものと考えてください。というわけで、外観やふるまいで清潔感を演出することでも、ある程度はオヤジ臭が消せるでしょう。
どうしても消えないにおいはあるのか?
衣服などの布・毛織物・皮革製品、壁や床や柱などの住環境・車やその他の空間において、なんらかのにおいが生じる原因があ
り、その洗浄方法を間違い、放置してしまった場合。においはどうしても取れないので、あきらめてください。
衣服で多いのが、ワキガなどのにおいが付着した場合です。大事な洋服でしたら汗ワキパッドなどの使用で、衣服への黄ばみ・においの沈着を防ぎましょう。この原因となる汗じみや皮脂を落とす洗浄方法が、クリーニング屋さんにあるようです。原因と経過をしっかり説明し、相談してみてください。
壁などの住環境にしみついてとれない、ペットの糞尿臭やタバコ臭。壁紙や柱や天井、床の水村にしみついているため、壁紙を変える、柱の表面を削るなどの対応で収まればいいはう。水の内部まで浸透している場合はお手あげです。車の室内環境も同じで、座席シートなどの張り替えられる部分程度なら取り替えられますが、室内全部にタバコやペット臭がしみついている場合はどうしようもありません。室内環境の場合は、あらゆる場所にしみついて、においが取れなくなる前に原因の駆除をしましょう。それは、こまめにふき掃除をする、活性炭など脱臭剤を置く、換気をよくする、などの対処です。においの原因となるペットの糞尿臭は、においが発生したらただちに対処しましょう。
どうやら初期行動の大切さは火事や疾病だけではなく、においでも重要なようです。いやなにおいを察知したらすぐに衣服は正しい方法で洗浄、処理を行う。室内空間はこまめに掃除を行う、換気をする。どちらも放置しないことがかんじんです。
消臭剤の効果とは
スプレー式の消臭剤を使ってできるのは、空気中に存在するにおいのもとを別の香りで包み込む(マスキングする)ことです。この消臭剤にジャスミンやレモンなどの香りがついている場合は、室内の空気中にあるにおいを包み込んで隠し、ジャスミンやレモンなどの芳香を漂わせるというしくみです。また最近では、無臭の植物性素材でにおい物質を包み込みにおわなくする方法も含まれます。これは吹きつけることで空中にあるにおいをつかまえる、能動的な作用から即効既が期待できます。しかし、においがなくなるというわけではありません。
次に、配置型の脱臭剤の使用です。これは活性炭や備長炭などの多孔質の物質ににおいを吸着させて、空気中のにおいの粒子を
なくすことで無臭化します。しかしこれは空中のにおいが落ちてくることを待ちますので、冷蔵庫や靴箱などのかぎられた空間では効果を早めに発揮できますが、ふつうの部屋に広がった煙やにおいなどには比較的時間がかかるといえます。ただにおいを吸着しますので、根本的な無臭化か可能です。
実験時に使われる無臭空気をつくるときも、この活性炭による脱臭剤は活躍します。活性炭や備長炭、シリカゲルや蒸留水に何度も空気をくぐらせて脱臭し、無臭空気をつくるのです。この作業は大変な手間と労力を必要とする一方で、実験には欠かせないものなので、手抜きができません。
脱臭剤の1つ、活性炭は18世紀、砂糖をつくる過程での脱色剤として使用されていたものです。 19世紀になり、粒状活性炭が塩
素ガスなど毒性ガスの吸着剤としておもに化学工業生産分野に広がります。その後、空気清浄や脱臭剤として、活性炭は工場から
飛びだして、世界中で家庭用のにおい消しに使われるようになりました。活性炭というものは、炭素もしくは炭素を含む物質を炭化または多孔状になるように活性化を施したもの。その脱臭メカニズムは、さまざまな化学物質と結びついて、それを表面にくっつけてしまう強い吸着力があることです。活性炭の無数の穴は1グラムで2000平方メートルにもおよぶ表面積があります。この穴は非常に細い管で、外のものを吸い込もうとする毛細管現象が起こります。
こうして活性炭の中ににおい分子が吸い込まれると、穴の内部の表面にその分子が吸着され脱臭効果を発揮するのです。またふ
つうの炭を脱臭剤として使う場合は、脱臭製品と違い、その脱臭効果を再生できるというメリットがあります。特に脱臭力が高いといわれるのが備長炭です。これらを冷蔵庫などに入れて脱臭効果が落ちてきたら、5~10分間煮沸し、2~3日乾燥させると、またもとどおりの脱臭能力が期待できます。
こんなに強力な脱臭剤があっても、消したいにおいの強度によって脱臭時間と脱臭回数が左右されます。いやなにおいの代表格である、汗臭い動物臭のイソ吉草酸や靴下の蒸れたにおいである酪酸は、10畳ほどの実験室に数滴落としただけで強烈な刺激臭が充満します。すぐに活性炭などの脱臭剤を大量にばらまき、アルコールでしつこくふき取っても、このにおいはなかなか消えません。換気扇を回しても、外やほかの部屋にまで広がるという弊害もでてしまう強烈さ。このにおい攻撃は消えるまでに約1週間かかります。もちろんにおいが消えない間は、ほかのにおいの実験はできません。
このように残留しやすいにおいは揮発性がとぼしく、吸着性が高いという特徴があります。ほかの残留しやすい特徴的なにおいとして、ヨノンという物質があります。長く残る性質から、香りがすぐに消えてしまっては困る香水や化粧品に応用されています、歯医者の消毒液のにおいの主成分である、オイゲノール(歯科ではユージノールといいます)も残留しやすいにおいの1つ。道でヒトとすれ違ったときにほのかに香る消毒薬のようなにおいに「あっ、歯医者さんだ日と思ったことはないでしょうか? このように仕事以外の休日でもわかるほど、強く残ってにおう物質です。
そして最後に化学反応で別の物質に変化させることや微生物に分解させて消臭するというしくみがあります。光触媒反応は、酸化チタンの抗酸化反応を利用して、微生物や細菌を分解・消滅させていく反応です。あらかじめにおいをさけたいものに吹きつけたり、付着させておく方法で、建物の外壁や内壁などに塗布しておき、においのほかにも日焼けや汚れを防ぎます。観葉植物や家電などに塗布しておき、タバコの煙やペット臭などをさけるものもあります。
微生物分解反応は柿渋のタンニンの化学反応と少し違って、微生物がアンモニアなどの悪臭のもとを分解してにおいを消す方法です。ゴミ箱やペットのトイレなどに吹きっけておくと、におい物質を分解してにおいの根元を断ちます。これらは環境にもやさしい、エコな消臭方法です。消したいにおいに応じて、使い分けてみてください。
体臭・口臭の消臭の仕方
基本的に体臭や口臭は食べ物と衛生管理で、ある程度抑えられます。ただ、人種や個人差によるワキガなどのにおいは、抑えきれない場合もあるのでご注意を。
まず始めに、食べ物によるにおいですが、当然のことですが、ヒトの体は食べた物からつくられます。タンパク質やビタミン・ミネラル・脂肪などの栄養素が、体の中でたえず化学反応を起こして、新陳代謝を繰り返し、血や筋肉や皮膚や骨となり、体を形成します。これにより、食物によって体臭も変化します。ニンニクなどのにおいが強い食物が吸収されたあと、栄養成分とともに血流に乗り、全身を回ります。そして、回った先で毛穴などからにおいが噴出します。汗と混ざって複雑な香りを形成してかもしだすようになるのです。
ただし、これはおもにアリシンのようなにおいが強い成分で、毛穴から気化してでられるくらい分子量が小さく、かつ肝臓で分解されないで残るものにかぎります。
また、食べた物のにおいがげっぷなどで胃からの戻り臭となる場合もあります。一般的に肉食が中心の欧米人は体臭が強いです。欧米の動物性タンパク質や脂質が多い食生活と、生まれつきその数が変わらないアポクリン腺との関係から、そのような食生活をすると、アポクリン腺が活発化されると考えられています。また、脂質が多いので皮脂腺で皮脂が活発に代謝され、微生物に 分解されてにおいのもとになりやすくなります。ニンニクもそうですが、まずにおわない食べ物を選択する生活にシフトすることで、ある程度はフォローできるでしょう。
次に、不衛生だと体臭は強くにおいます。水源が豊かで活火山列島の日本では温浴がさかんでした。もともと体のにおいがきつくなるような食習慣もなく、温泉によく入る習慣から、無臭を好む嗜好が育まれたのでしょう。鎖国が解けて、海外から石鹸が輸入されるまでは、体臭を消すという発想もなかったかもしれません。その逆が19世紀のフランスです。下水道設備がなく、水も悪かったフランスでは入浴の習慣がありません。朝はおまるにした糞尿を窓の外に捨てる習慣から始まったともいわれますっ刺激的で目覚めのよい習慣ですが、これらの体臭や下水道の不備による悪臭を消すために香水が発達しました。体臭とともに香りが長続きし、かつそのにおいに慣れてきても体臭をマスキングする香り。香水は香りが持続するように揮発しやすい成分と揮発しにくい成分を組み合わせて調合されています。
トップ・ミドル・ベースの3段階で香りが続くように構成され、ベースノートは数日香りが残っている場合もあります。きつい体臭を消すにはちょうどよいので、体臭が気になる人は海外ブランドの香水でカバーするのも手段の1つでしょう。ただし、あまり強い香りを好まない日本でつけすぎると、周りの人々がひいていくかもしれません。
しかしその前に試してみたいのが、衛生面での心がけです。まず体を洗い、清潔を維持すること。次に汗をかいたらふいて皮膚表面上で細菌が繁殖し、腐敗発酵臭をつくるのを防ぐことです、顔とともに皮脂腺が多いのは頭皮です。こちらも不潔にすると、皮脂腺からにじみでた皮脂が細菌に分解されて、またいやなにおいを発します。夏場は特ににおいますので、よく洗いましょう。
口臭も同様で、においが強い食べ物をさけることが重要です。
歯磨きや歯間フロスの徹底で衛生を保ち、口の中での腐敗臭を防ぐのです。この2点で、におい問題の大半は対応できます。朝食
をしっかり摂ることも大事です。モーニングブレスといって朝食を摂らないと、くさい息が日からでてくることになります。また緊張したり、水分を摂らなかったり、加齢につれて唾液がでにくくなるために日腔内が乾燥することかにおいの原因となります。
これを防ぐ秘密兵器がガムです。実はガムをかむことで、口内の唾液がでてきます。これが口臭を防ぐのです。ガムの香りでマスキングもできるという副次効果もうれしいですね。
あとは加齢臭についてですが、これも同様に対処できます。